妊婦と喘息

妊娠された方の中には、喘息を持っている方もいらっしゃると思います。かくいう私も、小さいころに気管支喘息だったんだと母から聞かされました。でも吸入などはした記憶一切ないんですよね…。ある程度大きくなってからは全く咳は出てないんですが、ここ数年は、風邪をひくと咳喘息をよく起こします。

咳喘息は厳密には喘息ではありません。最近では、卓球の福原愛ちゃんなどがかかって話題になりましたね。咳喘息は文字通り咳しか出ないんですが、放っておくと何割か喘息へ移行してしまう恐れがあるので、きっちり治すことが必要です。しかし、まだ広く認知されていないのか、ずっと風邪の治療を続けられてしまう方もいるようです。いつまでたっても治らない上に喘息を起こしてしまう、なんてこともありえてしまうので、注意する必要がありそうです。

それはさておき、喘息もちの方が妊娠すると、これからはなるべく薬使いたくないな~と思ってしまうのは当然のことだと思います。ですが、絶対に治療を止めてはいけません。

私も最初にマタニティクリニックに行った際に喘息にかかったことがあると伝えると、医師から説明がありました。症状がでて治療となったら、絶対薬を自己判断でやめないようにという注意です。

妊娠時の喘息発作は、赤ちゃんへの酸素不足を招き、低酸素血症、流産、発育不全、脳障害の危険を増すことになってしまうからです。また、喘息をきっちりコントロールしていない妊婦さんは、早産や低体重、先天異常の割合が高いことも報告されています。つまり、赤ちゃんへの影響が心配で薬を止めても、かえって悪影響がでてしまう可能性があるということです。

薬の説明書(添付文書)が、今はネットで簡単にみられる時代になりました。そうすると、ほとんどの薬は「妊娠中の使用は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」的なくだりが書いてあります。これでは心配ですね。製薬会社側も、何か問題があってからでは怖いので、なかなかこの一文を消すことはできないのだと思います。ですが、実際はそう書いてあっても問題なく使用できるものがとても多く、それはこれまで積み上げてきた使用実績によります。

そのため、医師は「多くの妊婦さんが使用してきた結果、これまで明らかな胎児への異常が見られないから大丈夫と思われる」ものを出してくれているので、安心して使ってほしいと思います。

ただ、忘れてはいけないのは、「絶対に異常が起こらないわけではない」ということです。なぜなら、何にも薬を飲まなくても数パーセントの胎児には異常が起こる可能性があるからです。そこで、私たちが薬を出すときには「この薬を飲むことで、飲んでいない人と比べて異常が起こる可能性が明らかに上がることはない」という内容の話をします。薬を飲んでいて異常があっても、それは薬のせいではなく、何も飲んでいない人にも起こりうる可能性の一つだったということです。

薬はなるべく飲むべきではありませんが、過剰に心配することでかえって胎児に悪影響が及ばないよう、医師の指示通りきちんと飲んでください。

特に、妊娠24~36週では喘息症状が最も悪化しやすいといわれていますので、注意してください。

一番メインで使われているのはステロイドの吸入です。使用経験も多いものがいくつかありますので、安心して使用できると思います。不安な時は勝手に止めずに、まず医師に相談してください。

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