久しぶりに薬の話…。
最近ジェネリックメーカーのCMが多くなってきましたから、もうだいぶ知名度が上がったのではないかと思います。
以前は「後発品」と呼ばれることが多かったのですが、字面が良くないと思われたのかな？最近はもっぱら「ジェネリック」ですね。
ジェネリックは、先発品と呼ばれる最初に発売された製品の特許が切れてから発売されたものです。開発時の費用がかからない分、お値段は安くできるというのがウリです。
以前は安かろう、悪かろうのイメージが強くあったみたいで、安い=粗悪というイメージを持ってる方もいまだ多くいらっしゃいます。
だいぶ前ですが、以前勤めていた薬局での出来事です。あるジェネリックメーカーの商品が、シートの同じ場所の薬だけ頻繁に割れてる時期がありました。
「１０錠シートの右側の上から２番目の薬だけ毎回割れてるんですが」
と伝えたところ、調査した結果が、
「輸送中か何かの途中で落とした時に割れたのでは？」
とのことでした。いやいや、毎回角っこでもない同じ場所だけ割れてるなんておかしいでしょ、とツッコんだんですが、しばらくそれは続きました。患者さんにはもちろん割れたものは提供するわけにはいきませんので、あとで交換措置をしてもらいました。
また別のメーカーでは、シートの圧着が不十分なものがしばらく出荷されており、
「機械を入れ替えたてで圧着にばらつきがありますが、錠剤には問題ないので。」
とのことでした。圧着が不十分なら、湿気には大丈夫なんですか？と聞いたら
「いえ、それは…。」
みたいな返事。うーん、あいまいだなぁ…大丈夫かな…。
でもいずれも昔の話。最近は聞きません。ジェネリックも多くのメーカーがありますから、安い中でもより良いものを出してくれているのだと思います。
ちなみに、基本的には先発品と全く同じではありません。「成分」「含有量」が同じなだけで、作り方や添加物は違うことがほとんどです。外観も似せてあるものもあれば、まったく違うものもあります。中には成分の特許は切れても、製剤技術の特許があるから同じには作れないというものもあります。そのため、切り替え後の体調の変化を訴える方も少数ながらいらっしゃいます。とはいえ、そんな突飛な作り方をしているわけではないので、特殊な加工をしてる薬でない限り、以前と変わらず使用できる場合が多いです。最初からジェネリックを使っていれば気にならないかもしれませんね。
そんな中、最近オーソライズドジェネリックというものが増えてきました。カタカナの長い名前は苦手です…。
オーソライズドは、先発品と全く同じ後発品です。先発品メーカーと契約してる会社が発売しますので、名前は違いますが、同じです。これなら全く同じ薬が価格も安く手に入るのでお得です。
以前後発品に抵抗のある方にこれを勧めたのですが、
「全く同じなのに価格が安いなんでおかしい、アヤシイ」
と言われてしまいました。確かに疑問に思うのも無理はありません。
これは、日本の医療の価格を国が決めていることにあります。医療費抑制のため、国はジェネリックを推進しています。そのため、薬局も病院もジェネリックを使う体制や実績があるほうが優遇される傾向が強まり、徐々に後発品使用が増え、先発品使用は減りました。また、ジェネリックメーカーもどんどん増え、シェア争いがあります。1つの先発品に対し数十種のジェネリック医薬品が存在するなんてことも珍しくはありません。そんな中、先発品メーカーは、「使用量が減るくらいなら、いっそ同じ薬をジェネリックメーカーから出してもらってでも使ってもらいたい」となり、ジェネリックメーカーも「先発品と全く同じなら売りになる」となります。両社が契約して発売したのがオーソライズドです。でも、価格自体は国が決めるので、中身が同じだろうと、価格はほかのジェネリックと同じでね、ということになります。だから安い。（厳密には発売した時期により同じ成分のジェネリック間でも多少価格は異なります。）
なので、まったく同じなのに安いなんてアヤシイ、ということはありませんし、普通のジェネリックも最近はメーカーが増え、より品質の向上もありますから、ほとんどの場合は安心して使っていただけると思います。それでもどうしてもジェネリックに抵抗がある、でも安くしたいという方は、オーソライズドがあるかどうか薬局で聞いてみてもいいかもしれません。でもまだ少ないので、無いといわれることが多いかもしれませんが…。
